■インターローカルノートについて(「Inter Local Note」最初のページへ)





 

ILN054
2004.08.04 Toyota (豊田)
今日から豊田でのプロジェクトに参加。既に昨日から作業は始まっている。
作業場になるところに竹で日除けをつくる。同じ骨組みを何組も組み立てるために定規のようなものを木材で組み立てる。しかしどうも上手くいかない。何個か組み立ててみると、それぞれの長さに少しずつ違いがある。その調整で随分と時間が取られてしまう。どのくらい精密に組み立てるかがいつも私のプロジェクトのディスカッションの対象になる。

ILN055
2004.08.06 Tokyo (東京)
都内で雑誌プラクティカの対談。東大の西垣さん、世田谷美術館の勅使河原さんとで現在のアート状況を話す。今回のプラクティカは、ソ−シャルアート、コミュニティアートをテーマにして雑誌を組み立てていくようだ。自分の中でも興味のある対象ではある。
ILN056
2004.08.09 Tokyo (東京)
人間ドックに入る。年に一度、ここで身体検査を受ける。既に三年ほど続けている。血糖値、肝機能、いろいろ引っかかるものがある。50歳を過ぎれば誰でもそうだろう。長い間、いろいろな悪条件に耐えてきたこの自分の体に感謝。

ILN057
2004.08.23 Yokohama (横浜)
横浜BankArt にて絵本出版記念イベント。三年越しの絵本出版企画がやっとかたちになった。この企画で自分が思っていたことは「子供に媚びない」そのことのみだった。出版記念イベントで岡崎氏と対談。それなりに面白かった。

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ILN058
2004.08.30 Saint Thélo
フランス、ブルターニュ地方の小村、サンテローでワークショップを開始する。
三年越しに古い廃屋2軒の再生を学生と一緒にプランして組み立てていいくプロジェクト。かなり建築ワークショップのようなスタイルでもある。フランス、ドイツ、オランダ、日本と様々な国の学生約30名が二週間、ここに滞在して、リサーチ、プランニング、村の人たちへのインタビューなどを通じて、全体構想を組み立てていった。今回は、最終的に模型や図面でのプレゼンテーションで終わったが、来年度は、実際の組み立て作業にかかりたいと思う。

ILN059
2004.09.14 Basel
バーゼルのプロジェクト解体開始。サンテローから来た学生と共に川岸に組み立てた幅6メートル、長さ100メートルの長い木造テラスの床に張られた板を一枚一枚はがし、トラックに積み込む。汗と埃でみんな真っ黒になって作業を続けた。夜は、みんなの宿泊所でもある友人宅の庭でバーベキュー。みんな黙々と食べる。

ILN060
2004.09.15 Zuoz
ズオッツのホテルで今年の冬の作業打ち合わせ。6年前にここのホテルに組み立てた100メートルの橋と木造テラスに今回はエクステンドのテラスを加え、組み立てるというオーダー。材料は、バーゼルのテラスの解体した木材を一部買い取ってもらったもの。一つのプロジェクトが派生したり飛び火したりして次のプロジェクトに繋がる。このようなことは良くあることだ。特に材料のリサイクルは、本当に助かる。

ILN061
2004.09.18 San Gimignano
毎年トスカーナ地方の六つの村に6人のアーティストが設置した作品を、大型バス3台を連ねてツアーしながら見て回り、オープニングセレモニーを行なうという企画に参加。いろいろな町や村を訪れ、過去に参加したそれぞれのアーティストがどんなことを考え、どんな作品をその場で制作したかを知ることは、それなりに興味深いことだった。

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ILN062
2004.09.21 Toride (取手)
東京芸大先端科大学院の入試が始まる。ポートフォリオの審査。最近は皆、ポートフォリオのつくり方も巧くなったものだ。以前は、自分の仕事をまとめるという発想もなく、ただ写真を束ねて提出してきたのもいるが、現在では既にこのビニールケースのファイルに資料を入れ、コメントを書き綴るスタイルが固まってきた感じだ。

ILN063
2004.09.29 Basel
スイスのコレクターの庭にコミッションワークとして、テラスを組み立てる。その最初の作業日。既に基礎工事は終わっているはずだったが、まだもたもたしている。作品的には別段大掛かりなものではないが、庭の木や植物、花などにダメージを与えないで仕事をするのはしんどい作業だ。

ILN064
2004.10.05 Nantes
2006年に行なうプロジェクトのため、現場下見に来る。ナントの町から海岸へと向かう大きな川沿いに作品を設置することを決める。木造の長い桟橋を川岸から長く、川の真ん中まで組み立て、その上に蜃気楼のような町をつくるというプランだ。どこまで現実的かはわからないが、とにかくこのプランで進めてもらう。

ILN065
2004.10.19 Basel
先日制作した個人住宅の庭につくったテラスの完成チエックとそのお披露目のためにバーゼルに行く。オーナーは昨日まで休暇で居なかったため、今日初めて作品を目にしたわけだが、細かいことを一言言っただけで、おおむね満足している様子だった。やれやれだ。

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ILN066
2004.10.22 Tokyo (東京)
美術書店ナディッフで今年の夏に行なった豊田市でのプロジェクトの報告会。店内に椅子を置いて20名ほどの観客を前に暑かった豊田の夏の作業を思い出す。

ILN067
2004.10.25 Kobe (神戸)
神戸で二日間、精神医療学会に参加する。医学の専門的な学会に参加するには初めてではあるが、すでに千葉の精神病院で長い臨床としてのワークショップを先端学生と共に行なってきたこともあり、ポスタープレセンテーションには、それなりに自信があった。学会終了後、みんなでホテルのロビーで今後のこと、方向性、臨床のスタイル、来年のエジプト、カイロでの国際学会に向けての準備などについて遅くまで話す。

ILN068
2004.11.02 Nogata (直方)
直方の女性市民団体の企画しているセミナーに講師として出席する。直方市は、田川市の隣り町で同じ炭坑町であった関係から何度か訪たこともあるが、今回は、現代美術というものをわかりやすく紹介して欲しいというオーダーだったので、かなり噛み砕いて話した。そして最後に現在まで継続して行なっている「コールマイン・プロジェクト」の話をするが、後で聞いたらこれが一番わかり難かったらしい。

ILN069
2004.11.09 Tagawa (田川)
カフェトークを田川のサイトで上野朱氏と行なう。上野氏は長らく筑豊の炭坑町に居てそこで労働者の生活を克明に記録していったドキュメンタリー作家の上野英信さんのご子息で、以前から興味があったが、なかなか接点がなかったが、ひょんなことからコールマインスタッフの母里氏と同級生であることを知り、急遽お願いして、カフェトークに出席してもらうことにした。そこで上野英信さんのいろいろな逸話をたくさん聞かせていただいた。

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ILN070
2004.11.20 Kobe (神戸)
神戸大学の主催する学会で、「環境、都市」をテーマにしたワークショップ、シンポジウムに参加。そこで基調講演を行なう中井久夫氏に初めて会い、少し話をする。以前から興味を持って中井氏の本を読んで、精神疾患と芸術との関係を自分なりに考えゼミでも行なっていたので、実際にお会いして話せたのは、大変良かった。これだけでも今回のこの学会に参加した意味があった。

ILN071
2004.11.23 Kashima (鹿嶋)
母の三回忌で法事を行なう。天気が良く法事日和だ。鹿嶋サッカー場のすぐ近くにある墓に行き、みんなで墓石に水をやる。早いものですでに2年が過ぎた。

ILN072
2004.11.28 Zuoz
ここ数日、雪が降って作業がなかなかはかどらなかったが、このホテルでのエクステンド・テラス制作もほぼ完成が近い。残った材木でベンチやテーブルを組み立てる。組み立て上がったテーブルにも既に雪が積もり始め、作業もこれまでということで終了し、みんなで近くの行きつけのレストランでチーズフォンデュを食べながら完成祝賀祝いをする。外はまだ雪が降り続いていた。

ILN073
2004.11.29 Graz
来年6月に「日本の視覚」展が行なわれるオーストリアのグラーツに来る。ここの奇妙な建物(ピーター・クックの最新建築)の美術館を訪れる。まるでナマコかエイリアンのようなかたちで、夜になると建物表面が点滅する。内部は、それほどでもなく、白い壁に自分が展示する作品を美術館関係者と打ち合わせる。近くの川にアメリカの作家、ビト・アコンチがつくった浮島のようなものがある。夜、美術館の近くのホテルでぼんやりと今回の出品作品について考える。

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ILN074
2004.12.02 Yokohama (横浜)
今日から8回、BankArtでのクチャーの中で、先端教官六名を招いた連続カフェトークを行なうことにする。それにしても昨日もらった電話の内容は極めて重要なものだった。来年の自分のスケジュール、仕事を一掃しなければならないかもしれない。やれやれ、大変なことが自分の身に降り掛かってきたようだ。

ILN075
2004.12.04 Yokohama (横浜)
今日はカフェトーク先端教官シリーズ第一回目、日比野君がゲスト。その同じ建物の下の階では、「国際展を考える」というシンポジウムが開かれている。横浜トリエンナーレの今後について話されている様子。あまり巻き込まれたくないと思い、カフェトークを終えて、そそくさと帰る。

ILN076
2004.12.06 Tokyo (東京)
西荻で詩人の白石かず子さんとロンドンから一時帰国の由子さんと夕食。久しぶりにロンドンの話で盛り上がる。いつもの話題は、毎年一緒に取っている夏の休暇について。今年は現地で制作し展覧会までしたので、なんだか休暇という感じではなかったが、来年の夏は果たして休暇など取れるのだろうか。

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